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(キン、お前が来ると賑やかで楽しい。
遠慮せずにまた訪ねて来るが良い。
それから太朗と銀牙、お前達は此れからどうするのだ?
元の方代に戻るのは寂しかろう)
「どうするも何も、いきなりキンの奴が棚から俺たちをのみ込んで此処に連れて来たんです。
事が終ったからと言ってもまだ何も考えなどございません」
鯰太朗が龍様に答えた。
(お前はどうだ?)
龍様が銀牙を見る。
「そうですね・・
俺は皆で何かするのは愉しかった。
このまま方代に戻るのはちと寂しい気がします。
でも俺も先の事等何も・・」
(そうか・・
なればお前達、狛犬となって我の門番にならぬか?)
「門番でございますが?」
「俺は山犬ですからそれでも構いませんが、太朗は鯰ですよ、狛犬ってのはどうなんですかね?」
(銀牙、狛犬と言っても犬になるわけではない。
社などを守る者を総じてそう呼ぶだけでな、稲荷などの狛犬は狐だし、他にも変わり種は多々おる)
龍様は笑いながら二人を見る。
「主様、こんな弱い奴等が門番等、其なら私を主様のお側に」
魔夢が慌てて龍様の前に進み出た。
(魔夢よ、お前には門番等務まらぬ。
お前は母のように守り育てる者だ。
我に母は要らぬ。
そうよ、雪南が嫁入りしたならその兄がいるではないか。
あれは強い力を持って生まれた。
その力ゆえ近付く魔物も多い。
今迄は慧が守って来たが、あれも嫁を貰ったなら前のようにはいくまい。
どうだ?
笹羅が嫌ならジュニアの守り主とならぬか)
突然の事に魔夢は返答に困った。
(まあ直ぐにとは言うまい。
皆、気持ちが決まったなら我に伝えよ)
龍様はそう言い残すと祠の中に戻って行った。
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