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「俺、こう見えて意外と一途なのよ?本気の相手には」
「七生くんにもず〜〜っと一途だったんだよな」
「それは誤解だって何回言ったら解るの」
専門学校卒の俺にとって大学生とは実に華やかな存在だった。『何が人生の夏休みだ学生は勉強しやがれ親が泣くぞ』と毒づいていた。
俺の知らない世界で、読んで字の如く身を寄せ合っていた二人への嫉妬心と羨望は我ながら根深い。いや、七生くんは会えばいいヤツだし、何より晃介くんとラブラブで心配する必要なんかないと解ってるけど。
「何にしたって一緒に行ってくれるなら嬉しい。俺、一層何も出来ない子になっちゃうけど」
「それはいい。俺は由貴のお世話するのが生き甲斐だから」
「ダメ人間製造機だねー」
「ナジャ見てるとつくづく思うよ」
母親が、ナジャの店のスタッフと駆け落ちしたのは小学校に入学した翌日だった。それでもナジャが居たから寂しくなかったし、店のお客さんにも可愛がって貰えて(恋愛関係を除けば)案外充足した日々だった。
それに─────今は由貴がいる。
「大好き」
「ナニ急に」
「束縛強い?」
「ロウにされるなら幸せ♡」
こーゆーとこが信用ならんのだ。
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