終章

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   三十才になったら放浪の旅をしたかったのに、と由貴は笑う。 「自分探し?」 「そうそう。でも、ロウが居てくれるから、仕事とセックス漬けで迎える事になるねー」 「デカい声で言うな。俺は寝る」  チェアを倒しアイマスクを装着すると、由貴がブランケットを引き上げ、柔らかく胸を叩いてくれる。心地いいリズムに体が満たされて、すうっと眠りに落ちて行く。 『愛してるよ。おやすみハニー』  臆面もなく、歯の浮くような台詞を囁くのが由貴クオリティ。ホントに日本人かあんたは。
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