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   福岡での病院巡りを終え、ホテルに戻ったのは陽もとっぷり暮れてから。  いつも飄々として涼しげで、人を食ったような所のある暫定上司と、ツインの部屋に入るだけでも動悸がする。  この人が入社した年、四年目の俺も新人研修に駆り出されていた事なんて知らないと思うけど、御曹司と言う『鳴り物』を抜きにしたとしても、まあ兎に角目を引く存在だった。  スクールカーストで言うなら間違いなく最上位の一軍だったはずであろう華。 日本人っぽくないくっきりはっきりした目鼻立ち……と顔の作りが派手なのもあるけど、立ち居振る舞い全てに華がある。いつも場の中心にいるにもかかわらず腰が低くて礼儀正しく、周囲へのフォローもさりげなく如才無い。  生まれた瞬間から『勝ち組』として生きて来たが故の余裕なのかこれは。  
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