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それから数年後……
B国から遠く離れたD国の、東シナ海に近い草原に建つ三階建ての屋敷に、一人の男が住んでいた。
あの時、B国の上空から小さな花々をまいたトムだった。
その後、彼は、大好きだった花を扱う商売で大成功し、元々この地に建っていた屋敷をリフォームして、自宅にしたのだった。
庭には、A国にいた時と同様の美しい花々が咲いていた。
彼は窓から海を見ながら、
「あのあたりだな……あの時、爆撃機を墜落させたのは……。
僕は予定どおり直前に、生活資金なんかを入れたリュックを背負うと、パラシュートで脱出したけどね……。
そうそう……パラシュートと言えば、あの時のゴキブリ……どうしたな……?
パラシュートの金具が外れずに困っていた時、突然ゴキブリが手に止まったもんだから、強く払い除けたんだ。
そしたら手が金具に強く当たったために、金具が外れて助かったんだ……。
あの時、思わずゴキブリに礼を言ったけど……。あの後、ゴキブリ君、助かったかな……?」
ジョニーは無論、そんなつもりで男の手に飛び付いたのではなかった。
たまたま強風に吹き飛ばされたので、しがみ付いただけだったのだ。
そんなトムの後ろには、彼に感づかれないように散歩を楽しむジョニーの姿があった。
――終――
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