空から…Fをまく男

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その昔…… 日本から、かなり遠いA国とB国という二つの国が戦争をしていた時…… こんな話があった……。 長雨が明けたある朝、A国のアパートに住むジョニーは散歩に出かけた。 いつものモノトーン姿で……。 出ると、やや狭いが馴染(なじ)んだコースを進んで行った。 実に、のどかで良い気分だった。 いつもの柱の角を()がり、いつもの場所で休憩をとる。 人影の無いのが大好きだった。 いつもの美しい港(の絵)を見ながら…… 「あー……ここに住んで、もう何年になるかな……。さー、そろそろ帰ろう……。昼食の時間になる……」 そして、いつもの壁を曲がった時、不意に女と出くわした。 女は彼を見ると、かなりの形相で(にら)みつけながら、何かを発し、走り去って行った。 ジョニーは、その様子を見ながら、 「ひどく睨んでたけど……どうしてかな……? それに、かなり遠くへ……行ったようだけど……」 彼は、そう思いながら殺気を感じ、歩調を早めた。 「何か悪い予感がする。早く帰ろう。だけど……」 そう、彼は、ある場所に寄らなくてはならなかった。 昼食の調達だった。 「仕方がない。適当に調達しよう……」 到着すると、いつもより少なくなったが、なんとか調達し、少し食べながら 大急ぎで住まいに向かった。 住まいに戻ってみると、予感は的中していた。 さっきの女と、少し()けた感じの女が、住まいの前にいたのだ。 それも、すごい形相だった。 ジョニーは仕方なく、 「この食材、すべて(ゆず)りますから、どうか許してください」 しかし二人の女は、そんな事では許せない! といった感じだった。 彼が、どうしようか……と困っていると、老けた女が突然スプレー缶を出し、ジョニーに向けて噴射したのだ。 予想していた彼は、咄嗟(とっさ)に背中にある自前の羽を使ってフワリー……と飛んで()け、窓の陰に避難した。 それを見た老けた女は、 「このー、ゴキブリめー! とっとと出て行けー!!」 窓を開けながら、さらにスプレーを噴射させた。 ジョニーは、たまらない……とばかりに、その窓から外に飛び出した。 実は、そろそろヤバイかも……と思っていたのだった。 ジョニーが飛び出したのは、古いアパートの二階だったので、必死で屋根に向かった。 さらにジョニーは、近くに建ててあるアンテナの頂上に登った。
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