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「宮本さんはまだ彼のこと想っているの?」
「それは……」
蒼井先輩の冷たい目から視線をそらせないでいると、遠くから走ってくる足音が聞こえてきて、美術室の前で止まる。と同時に、ドアが勢いよく開く。
その音にわたしはビクッと肩を震わせ、ドアに視線を移した。美術部員全員の視線を集めて立ち尽くしていたのは、肩で息をしながら呼吸を整えている亮太だった。
「りょっ……葉月くん……」
「おい、今すぐそいつから離れろ、手をどかせ」
亮太が美術室に入ってきて、わたし達の元へ歩いてくる。それを見て蒼井先輩がわたしの頬にそえられた手を下ろし、亮太に向き直っている。
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