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そこにヨウがやってきた。
「わたし、もうすぐだって!」
ヨウは、嬉しさを我慢出来ないようだった。
羽が生えた小鳥のように、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「ゆうべ、ゼスから言われたの。心の準備をしておきなさいって」
「なら、本当にもうすぐなんだね?!おめでとう」
ナータは祝福した。
マルリも優しくアドバイスをする。
「僕みたいに、戻ってこないように頑張ってね!初めは少し怖いけど大丈夫。すぐに慣れるから」
「うん。ありがとう」
ヨウは、遊んでいる仲間たちの元へ駆けて行った。
「僕の順番はいつになるんだろう。僕が一度も旅立つ前に、キミは2回も旅立ってるんだから羨ましいよ」
「ごめん。そうだよね。少し向こうでの事、話そうか?」
「いいの?」
二人は木陰の下に座った。
「ナータ!」
不意にゼスから呼び止められる。
「とうとうキミの順番がきたよ」
ナータは、驚きと嬉しくさで跳ね上がる。
「本当に?」
「ああ。本当だ。さぁ、行こう。」
それを見たヨウが駆け戻って来た。
「なんだぁ。ナータの方が先なんだぁ」
「そうみたい。ごめんね」
「いいのよ。それじゃあね」
「うん。ヨウ、ありがとう。マルリも、元気でね。さよなら」
マルリは涙を堪えながらも、笑顔を作って手を振った。
「ナータ。頑張ってね!帰って来ちゃダメだよ」
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