Prologue

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Prologue

__警報装置から、耳をつんざくようなそんな五月蝿い音が発せられる。 此処は、白壁。別名、WHITE WALL。【BLACKLiLy】が造った、宇宙に或る巨大宇宙船だ。【BLACKLiLy】──皆、クロユリと呼ぶ。──は、地球人全員が恐れる、全国家の主要人物が勝手に力を合わせて作った組織だ。 宇宙で、地球で作った部品を繋げて出来た白壁。 一夜にして出来たそれは、誰もを驚かした。 勿論のこと、船内は超最先端科学技術で詰まっている。 これは只の宇宙船ではない。 ────中には生き物の住む、地球が入っているのだから…… 地球が何故、こうなったのか。政府は、地球温暖化対策と報じたが、一般人には、それが本当の理由だと信じられていない。 かといって、政府はどうこう言えたものではない。 実際、それは事実でないのだから。 男が白壁内の急な階段を、白衣をはためかせながら、走る。 階段を登りきった所には、多くのモニターを相手にせわしなくかつ黙々と仕事をする者が居た。 此処は、白壁を制御する部屋である。モニターの相手をしている者は、大きな宇宙船を一人で操作しているのだから、常人ではない。 「じ、準幹部殿! 」 白衣姿の男は、モニターと向きあっている者__準幹部とやら__に向かって言う。 「白壁に何者かが接近中ですが…… 一体我々は何を…すべきでしょうか……」 準幹部とやらは至って冷静に、モニターを操作している手を止めることなく答える。 「__人外に成った01、02、03、04を使え」 「えっ………。ですが、彼らは……」白衣姿の男は焦りつつ返事する。 準幹部は、抑揚のない声で言った。 「『訓練中だ。』とでも言いたいのだろう? だが、今の私達にはまたとないチャンスじゃないか?なあ?」 「チャンス…………?」 「彼らは、1年の基礎訓練をした。しかも、最初に此処に移された少女01の場合、2年半だ。 __まあ、彼女は……少し訳が違うが__ ごほん。 その彼らがこの件を解決すれば、政府にもよく観られるだろう。 一番危険な彼も、AIが憑いているから安心しろ。」 そう準幹部は言うと、キーボード音をカタンと響かせ4つのモニターに少年少女ら4名を1人ずつ映し出した。 映像はリアルタイムのようで、それぞれの部屋のありのままが映っていた。 人外とは白壁が浮かんでいる動力源のエネルギーにより、地球人がアレルギー的作用で特殊能力がついた人を指す言葉である。 つまり、この4名は特別なのである。 4名とも不思議な見た目をしているが、最も目立った少年04__赤い髪と白髪。癖っ毛とストレートとあからさまに変な髪__が突然目を開き、ブツブツ言いながら部屋の中をくるくると周り始めた。すると、カメラに__それは真っ赤な、人工物のような美しさを放つ__左目の視線をやり、手のひらを向けた。 __ぷつっ すると、少年を映すモニターだけ、通信が途絶えた。 白衣姿の男は顔を青くして、「カメラを付け直してきます。」と言って去ってしまった。 準幹部は少し顔をしかめた。しかし、キーボードを少し叩くと、難なくカメラを復帰させた。そして別のモニターに、カメラの通信を切った少年のデータを映す。 『04 零 【素材作成】 危険レベル 強 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 追記・人工知能が左目に備わっている』 黒い塗り潰しが多くしてある物を見つつ、響き渡るような声で笑う。 そしてモニターの横についているボタンを押し、マイクのスイッチをオンにする。 『これより、01、02、03、04が入っているハッチを開く。繰り返す。これより、01、02、03、04が入っているハッチを開く。ハッチの近くに居る者は退避せよ。』 所変わってここは地球。 一人の青年が芝生に横たわって、タブレットを操作する。 「カクテイ。元気にやってるかなぁ?」 もう白くなった空を見て、独り言を言った。 勿論その問いに返事する者はいない。 すると、青年の上に小さな影ができた。 「お兄さん! カクテイってなに?」 近くで遊んでいた少女が興味津々といった風に聞く。 困ったなぁ。といいつつ、嬉しそうな青年は話す。 「カクテイはね。僕が造った人工知能なんだ」 「人工知能ってなに?」 「人工知能はね。機械が僕らみたいに『考える』ことをするんだよ」 「へぇ」 少し素っ気なくなった少女に、青年はにっこりとして、空を指した。 「その人工知能はね、今あの真っ白いとこにいるんだ。それで、あの空くらい白い白髪の少年に憑いているのさ。その少年の能力を抑えるためにね。でも、その少年もカクテイのせいで半分くらい赤毛になっちゃったけどね。」 「……えっと。…………凄いね!」 少女は歯を見せて笑った。でもたぶんちゃんとは理解していないであろう。 少女の綺麗な歯も、空に負けず劣らず白いと青年は思った。 少年少女の目の前のシャッターがどんどん上がって行く。 彼らは指示もなにもされていないが、危険であろう外に出る。躊躇なくしっかりとした足取りで。 外には、機械__世に言うロボット__が沢山あった。どのロボットも遠隔操作のようだった。 ──そう。政府が隠している白壁のある意味。それは、宇宙からの宣戦布告があったからだ。宇宙人から、地球を守る為。だれもそんな理由は信じない。だから、『地球温暖化』と、誤魔化したのだ。 4名全員がしているインカムに、先程の資料の少年__零__は言う。  “It‘s show time” 5分後、壁の外側__壁上__には、4名以外誰もいなかった。言ってしまえば、動く物が居なかった。ロボットはみなくずに成ったし、少し居た武装した宇宙人も倒れていて動かない。 少年達は宇宙人に手を合わせると各々戻って行った。 __この、宇宙人の第一襲撃により、準幹部は幹部に昇進し、少年達は久しく【ヒト】として扱われた。
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