5話

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5話

恵未は朝起きると匂いがしないのに気づく。不思議と無臭だと思っていたものも匂いは少なからずあるようだ。「……はは。」ぼそっと笑う。毎度の戦闘の度になにかを失っていくのを感じていた。物質的にも精神的にも。 髪の毛を結んで整えて鏡を覗いてみる「うん、いつも通り」___ってならなかった。やけにターコイズブルーの右目と金色の髪が光っていたからだ。脳裏で何かがフラッシュする。「やば………」ルームメイトの声を叩き起しそそくさと現場に向かう。 左耳の神経を犠牲に能力を起動させ___今に至る。 「ははっ…やるかぁ……」空元気、乾いた笑い。いつもの通りに、見えた通りにこなすだけ。何も考えることはないの__
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