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「ねぇ、雄飛」
「……なに?」
「私、決心した」
もっと早くこうしておけば、山崎さんよりも先に私が彼女から花束を手渡されていたかもしれない。
7歳の頃から子役として大手の芸能事務所に入った彼のことを、私は自分の中でちゃんと線引きしているつもりだった。
私が地に足付けて歩く人生だとしたら、雄飛は高く、遠く私にはきっと見えないところで自分の人生を謳歌するんだと思う。
雄飛の口から嬉しそうに事務所のオーディションに受かったんだって言う報告を受けて、私はあの時確実に喜んでなんていなかった。
小さいながらに自分と交わることはもうないんだって、そう気付いてしまったから。
「もう雄飛と会うの、やめる」
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