01.私の決意と彼の決意

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「………」 「雄飛だって忙しいでしょ。今が一番大変な時なのに、こんな所でのんびりしてる暇なんてあるの?」 「………」 「私はこれから、自分に見合った人とちゃんとお付き合いして、それでいつかは結婚したい……って、思ってる」 「自分に見合ったって、何」 「え?」 「俺には無くて、他の男に有るものってなんなの?」 「それは」 「みっちゃんの為にずっと頑張ってんのに、どうしても届かないわけ?」 「い、意味が分かんない」 「………」 「………」 沈黙は嫌に長く響く。 チラリと雄飛の方へ目を配ると、彼はあからさまに眉を下げて切なそうな、悲しそうな、苦しそうな顔で私を見ていたから慌ててその視線を逸らす。 すると彼はそれが合図だったかのように、キッチンに立っていた私の元へと距離を詰めた。
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