01.私の決意と彼の決意

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「ちょっ、何よ来ないで」 「……じゃあ、俺も決心した」 「は、はぁ?」 「みっちゃんが決心したことは俺に言わなくていいよ。俺みっちゃんの口からそれ聞いたらおかしくなっちゃうだろうから」 ダラッとしたスウェットに身を包んでいる雄飛と冷蔵庫に挟まれた私はどうにか逃げ道を探そうとしても、こういうことだけは抜かりのない彼に圧倒された。 ――あぁ、ほら。ダメだって。 雄飛の匂いを身体に入れるだけで、ダメになるから。 「ちょ、な、何よ退いてってば!」 「本当はみっちゃんに隠しごとなんてしたくないんだけど、仕方ないよね。こればっかりは」 「……」 「だから俺もさっき決心したこと、絶対教えてやんない」 冷蔵庫に手を着いて、左にコクッと頭を傾けた雄飛はこの世のモノとは思えない程の美形を揃わせて、私に微笑んだ。
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