02.変わらない想い合い

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「みっちゃんちょっと家貸して!」 「は、はぁ!?」 「俺今マンションに戻れない」 バタバタと人の許可を取る前に颯爽と中へ侵入したのは、数秒前までテレビで話題になっていた……。 「雄飛、あんた家賃滞納でもしたの?」 「馬鹿言うんじゃありません。俺が月にどんだけ稼いでるか知ってる?」 「……知りたくもない」 雄飛だったから、ドクリ。心臓が一回、大きく跳ねた。 詫びれた様子1つもなく、いつものように何ら変わることなくクローゼットから自分のスウェットを取り出してソファに寝転がる雄飛。 「俺の家の周りに大量のカメラマンとか記者が居て慌ててここに来たんだよなー」 「迷惑なんだけど」 「だって俺もう頼れる人みっちゃんしかいない」 「は?彼女だか熱愛報道の相手だかのところに行けばいいでしょ?」 そう言った途端、雄飛は転ばせた身体をムクッと起き上がらせて私の目を見る。 見つめ合うその数秒が耐えられなくて、逸らそうとした瞬間を突いて言う。「ねぇ、本当に彼女だって思う?」っと。
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