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「べ、別にどうだっていい」
その視線があまりに真剣で、熱くて、私の奥を覗こうとしていたから無理矢理それを途切れさせて自分を保った。
一気に呼吸が浅くなるのが分かる。
「……そっか。それよりお見合い相手だった医者とはどーなの」
「なんで知ってんのよ」
「俺みっちゃんのことなら何でも知ってる」
「気持ち悪いんだけど、本気で」
「だって何年一緒に居ると思ってんの?」
「何を知ってようと何を見てようと、前みたいに邪魔したら許さないから」
「あぁ、あのみっちゃんは本物のみっちゃんじゃないから大丈夫」
「……は?」
少し前までのあの雰囲気はなくなっていて、いつもの彼に戻ってゴロンッと横になりながら言う。
全く意味の分からない、そんなことを言う。
「あの医者と会ってる時、本当に楽しい?俺と居る時の方が楽だって思わない?」
「ちょっ、それ以上立ち上がらなくていい」
「ねぇ、俺当分家に戻れないからここに泊めてよ」
「……は?アンタ正気?何言ってんの?」
「もうこんな時間だしソファじゃなくて寝室に案内してよ」
「い、嫌……だから、ちょっ、と!」
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