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「みっちゃんとずっと一緒に居たいから、興味本位に近寄って来る女の人を利用してるんだよ」
「なに、言ってんの…?」
「有名な女優と噂になれば、みっちゃんのことは表沙汰にならないでしょ?」
「……!?」
「美優を守る為なら、他がどうなろうと俺には関係ないからさ。そのくらいみっちゃんのことが好きだって言ったら……どうする?」
流れるようなサラサラした前髪が、まるで故意であるかのように雄飛の表情を隠す。
どうせまたヘラヘラ笑いながら言ってるんでしょ?
雄飛はいつだって、私の前ではそんな風にしか笑わない。私に、真剣に何かを言ったことなんて、ないもんね。
「からかわないで」
「………」
「雄飛は私のことなんて好きじゃない」
「………」
「小さい頃からずっと一緒に居たから慣れた心の拠り所が必要なだけ。私と雄飛じゃ住む世界がちが――……んふっ!」
「それ以上喋んなくていいよ、みっちゃん」
そう言って彼は、私の口を塞いだ。
強引に、甘く、切なく、妖艶に―――。
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