03.キミは私の愛を摘む。

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「……旅行、ですか?」 「は、はい!来週、土日休みが取れそうなので」 ・ ・ ・ 「……ただいま、と」 いつもと変わらない、真っ暗な家。物音一つしないリビングのソファにバタリと倒れた。 旅行……かぁ。 悠人さんと一緒に行くことが、どういう事かなんて誰に言われなくても分かっている。彼もきっとその心積もりで、あんな風に真剣な眼差しで言ってくれたんだと思うから。 肌触りのいいクッションに顔を埋めて、頭を空っぽにしようと息を止めた矢先、机の上に放り投げた携帯がブーブーとバイブした。 「……え?」 シンッとしたこの部屋に鳴り響いた携帯の画面を見ると、もういつぶりに見たんだろうと思い出せなくなるくらい繰り下がっていた雄飛からの着信だったから、思わず胸がドキリと高鳴った。 どうしよう、これ。出るべき?出ない方が賢明? 二択の間で揺れる私を急かすのは、この着信音の所為なのか雄飛の名前を見た所為なのか。
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