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「――も、もしもし」
《みっちゃん、もう家？》
「は？家だけど……なに？」
《もうすぐみっちゃんの家に着くから玄関の鍵外しておいてくれる？》
「はぁ！？む、無理！もう雄飛を家には上げない！」
《……あいつと付き合うから？》
「な、何を言ってんのよアンタは……」
《まぁとにかく、玄関壊されたくなかったら開けててね美優》
「いや、だから―――……って。え、ちょっと！？」
言い終える前に一方的に切られた電話は、無感情にツーツーッと一定の音を奏でた。今の今まであからさまに私との関係を絶っていたくせに、いきなりなんだって言うの。
相当慌てていたのか、電話越しの彼の声は少し荒い吐息を吐きながら息を切らせているようだった。
またカメラマンだか記者だかに追われているから私に会うの？それとも単なる気まぐれ？
“美優”
雄飛が私の名前をそう呼ぶ時はいつも、何か大事な話がある時だった。小さい頃からいつも、無意識に彼は区別していた。
どっちにしたって、もう――。
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