232人が本棚に入れています
本棚に追加
雄飛なんて嫌い。
どうにでもなればいいよ。
「―――ねぇ、みっちゃん。本気で行くの?旅行」
「……ッ、どうして、知ってんの?」
「今そんな事聞いてない。あいつと2人で旅行に行くのかって聞いてんだけど」
「離して」
「答えるまで絶対離してあげない」
いつもみたいなヘラヘラした雄飛は居なかった。怒っている様に目を少し細めて、淡々と質問を投げかける。
ドクンッ、ドクンッと鳴りやまない心臓の音を誤魔化す様に私も冷静を張り付けて言い返す。
「……行くよ」
「っ、」
「行くって、悠人さんに返事した」
「ねぇ正気?」
目を見開いて茫然としている彼の一瞬の隙を突いて、その腕の中から抜け出す。存分に距離を保って、鳴りやまない鼓動をどうにか落ち着かせた。
キュッ
キュッと瞑っていた目を開いた瞬間、近すぎるその距離から離れようと足をジタバタさせても、彼は容易に私の足の間に割って入ってそれを阻止した。
雄飛なんて嫌い。どうにでもなればいいよ。
「――ねぇ、みっちゃん。本気で行くの?旅行」
「……だからどうして、アンタがそのこと知ってんの?」
「今そんなこと聞いてない。あいつと2人で旅行に行くのかって聞いてんだけど」
「離して」
「答えるまで絶対離してあげない」
いつもみたいにヘラヘラした雄飛はいなかった。怒っているように目を少し細めて、淡々と質問を投げかける。
ドクンッ、ドクンッと鳴りやまない心臓の音を誤魔化すように私も冷静を張り付けて言い返す。
「……行くよ」
「……」
「行くって、悠人さんに返事した」
「ねぇ正気?」
目を見開いて茫然としている彼の一瞬の隙を突いて、その腕の中から抜け出す。存分に距離を保って、鳴りやまない鼓動をどうにか落ち着かせた。
最初のコメントを投稿しよう!