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―――は?
それは私の玄関の先、いつもの位置で雄飛が壁に凭れ掛かって立っていた。
「……ゆう、ひ?」
会うといつも激しくなる鼓動。その音で思い出す、先週のこと。
どうしてか、私以上に両手いっぱいの紙袋を持っている雄飛はそのまま私の元へやって来る。
あぁ、抱き着いてくるパターンだコレ。
そうはさせない、と身構えていた私の目の前でピタリと止まった彼は手に持っていたそれらを突き出した。
「みっちゃん、コレはい!」
「え、なにこれ」
「この前のお詫びの品々!」
「お、お詫びって……どうしたのこんなに」
「あげる」
「ちょっと、こんなに持てない。玄関開けるから待って」
予想しなかった雄飛の登場に動揺の色を隠せないまま、如何にも平静ですよと訴えんばかりにゆっくりと玄関を開ける。
だけどこの後、どうしたらいいの―――。
「あのね、みっちゃん」
「え、へ?」
「これからもそうやって誰振り構わず男を家に入れんの?」
「あ、いや、これは雄飛だから……つい、」
「俺だから、ねぇ」
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