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私を引き留めないと言っておきながら、やっている事はまるでその反対。
差し出したココアを飲みながら忙しそうに携帯の画面をタップしている彼のその表情からは、もう何も読み取る事が出来なかった。
「雄飛、ごめん。私やっぱりコレ貰えな―――」
「みっちゃんのこの家に来るのもこれが最後かもしれないから」
「……へ?」
「もうみっちゃんに会えないかもしれない」
「……は?どういう、事?」
「今日ここに来たのはそのプレゼントを渡す為ともう一つ、ドラマの最終回の練習に付き合ってほしかったから」
話が飛び過ぎていて何を言っているのか理解に追いつけない私を余所に、「来て」と手を引いて向かい合うように立たせた。
雄飛の顔なんてもう毎日のように目の当たりにしているのだから相当の抗体が出来ているはずなのに、こうして近距離で向き合うとどうしても溢れ出す―――……今までねじ伏せてきた色んな感情たち。
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