01.私の決意と彼の決意

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今を手掛ける最大手の会社、三ツ谷グループのここ本社。 大きなビルのワンフロアにある総務部に入社して、早3年目。 入社したての頃は、こうして仕事終わりの度に大きなビルを見上げて息を大きく吸い込んで、明日の元気とヤル気を貰っていたけれど、今はソレと同じ行為をしてみてももう、何も思うことなんてなくなってきている。 「寒い、帰ろう」 12月の外は容赦なく人の体温を無慈悲に下げていく。 新調したばかりのコートに蹲って帰路を1歩辿った、その時。 ――グイッと突然引かれた腕。 「うっわ」 「みっちゃん、シー。叫んじゃダメだよ?」 「んんんーッ!?」 「車出してくれる?俺のマンション直行でヨロピコ」 「畏まりました」
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