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「気持ち悪い発言は弁えてくれる?」
一気に色んな感情が引いていくのと同様に、組み敷いた体制を元に戻そうとした瞬間。
雄飛に向かって垂れ下がっている私の髪の毛をスッと掬うように持ち上げた彼は、その毛先をワザと妖艶に見せびらかしながら、あろうことかパクリと口に咥えた。
日本人離れした色素の薄い肌色に、女に受ける要素を全部詰め込んだみたいな顔。
少し明るめのグレージュカラーにミストパーマで決めている彼は、その容姿をふんだんに使って馬鹿みたいに堪能しながらそんなことを平気な顔で仕出かす。
「この変態が!世間に広めてやる!」
――バチンッと可憐に雄飛の頬を殴って距離を取る。大層な高級車は横幅まで大逸れているから助かった。
「痛──ッ!顔はやめてっていつも言ってんじゃん!みっちゃんのアホ!」
「アンタ、本当にいい加減にしてよ。急に連れ去るようなマネして、どこに連れてく気よ」
「俺のマンション」
「……は?帰る」
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