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ようやく後片付けを終え調理実習室を出ようとした頃、高城くんに向き合った。
ちゃんと気持ちを吹っ切ろうと思ったからだ。
「……高城くん、今まで本当にありがとう。今日のこの日が迎えられたのは全部高城くんのおかげです」
「何ゆーてんねん。俺は教えただけや。俺の教えについて来てものにしたのは全部あんたの努力の結果や。もっと胸張っとき」
「……うん、ありがとう。これからは同じ部活仲間の一員として、出来れば……たまにでいいから話しかけてくれると嬉し──」
「は? なんやそれ」
「……え」
「なんやもうこれからはあんまり構うな的な一線引いた素っ気ない言葉いいそうな雰囲気やから先手打っとくけどな、あんたとはこれでほなさいなら! とか思ってへんからな」
「……」
「高城家の秘伝の味を教え込んだあんたをおいそれと簡単には放さん!って いうてるんや」
「えっ……えっ……」
急に何をいわれているのか分からなかった。
だから大した反応も出来ずにただその場に呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
「あんなぁ…。あんだけ毎日美味しいっちゅー笑顔見せられていたら惚れるなっちゅう方が無理な話や」
「………え……えぇぇぇぇ!?」
(今! 惚れるとかなんとかって……いった?!)
それは高城くんが私と同じ気持ちだと──思って……
(……いいの?)
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