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『どストライク』 かつて・・・これほど、この言葉がピッタリな瞬間があっただろうか? 楠木璃子(くすのきりこ)は、目の前にいる端正な顔立ちの男を見つめながら、今までの人生を瞬時に振り返った。 「・・・璃子先生?」 「・・・・」 あれは、先週の事・・・ 私は、担当編集者の新田(にった)さんから突然の告白を受けた。 「璃子先生。突然で申し訳ないのですが、この度、先生の担当を外れる事になりまして・・・」 「え?いつ?」 「それが・・・急なのですが、来週からでして。今度、ウチからデビューする新人作家がいるのですが、この人がなかなかの荒くれ者と申しますか、常識知らずと申しますか・・・そんなわけで、先生の作品をヒットさせた私なら何とか出来るんじゃないか?と上が申すものですから・・・」 「あのさ・・・その荒くれ者と私の作品が、どう関係するわけ?」 「いえ、先生の作品じゃなくて、先生そのものかと・・・?」 「はあ?!」 正直・・・これでもう、あやかしモノなど書けなくなってしまうと思った。 なぜなら・・・ 私が創造したあやかし達はすべて・・・新田さんのご家族がモデルだったのだから。 ふーむ・・・これから、どうするべえか?
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