ここで一旦作戦会議 西浦

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ここで一旦作戦会議 西浦

 その日の放課後。私は珍しく熊崎君と別々 に帰ることにした。  理由はとにかく愚痴りたかったから。その ため友達を誘い、現在ファストフード 店に行くことにしたのだ。  「ねぇ聞いてる!?あそこでね、あの先生 が来なかったら絶対キスできてたんだよ!? 絶対!!いつも昼休み終わらないと帰って 来ないかほぼ奥の司書室に引っ込んでるあの 先生さえ来なければ!!ねぇ!!!」  「あーはいはいそうだねー、先生さえ 来なかったらデキテタデキテタ。」  「真面目に聞いてぇえええええ!!!」  机をバンバン叩くと、友達が手の上にそっ とハンバーガーを乗せる。食べた。  この子は島野 瑞季。私の一番の親友で あり、既に彼氏と諸々済ませているリア充の 大先輩である。  その大先輩はかれこれ30分続く私の愚痴 をひたすら聞き、一区切りついたところで 口を開いた。  「でもあんたほんと運悪いね。キスなんて タイミングさえ合えばすぐでしょ?それを 二年も引き伸ばすとか…あんた前世でなんか したの?」  「嘘でしょ前世単位でどうにかしないと いけないくらいなの?」  おのれ前世の私、今世の私に迷惑をかけて んじゃない。ばーかばーか。  ふん、とふてくされて見せると、流石に 何か思ったのだろう。瑞季がスマホで何かを 探し始め、数秒後に画面を見せてくれた。  「あんたら、多分キスしたくないって 気持ちはないと思うのよ。だからさ、あとは ホントタイミング。邪魔が入るのがダメだと 言うなら、邪魔が入らないような場所に いってやればいいんだよ、要は。」  「邪魔が入らないようなとこぉ…?」  画面を見てみると、ピンクの文字で 「キスの必勝法!」。なんだこれ。  はてなを飛ばす私に対し、瑞季は自信あり とでもいうふうに何度も頷いて見せる。  「まずさ、誰もいないとこってのが悪いん だよ。それって誰か来たらめっちゃ恥ずく なるやつじゃん?」  「で、でも熊崎君人前でキスできるような 人じゃないし!」  「公共の場で実名出すな。あと、何も人前 でやれとか言わないから。木を隠すなら 森の中って言うっしょ?つまり、イチャつい てるやつが沢山いるとこでやればオケ、って ことだわ。」  「そんな場所あるの!?」  「あーるある。遊園地のナイトパレード でしょ、お化け屋敷の中でしょ、夜の公園に 恋愛もの上映中の映画館!」  「おお…!」  なんか1つあかんものあった気がするけど そこはそれ。そうか、確かにカップルが沢山 いるなら恥ずかしくない、寧ろ雰囲気に 流されてってこともあるかも…!  「ありがとう救世主……!私頑張る!」  「ハイハイ頑張って。そして早く甘々の ダブルデートしようね。結構楽しみにしてる んだから。」  「うん!!」  よっしゃやるぞおらー!!
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