遊園地に行きましょう

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遊園地に行きましょう

 「熊崎君、おはよう!」  「おはよ。」  朝、珍しく部活が休みだったらしい熊崎君 と一緒に登校する。  「今日雨降るらしいよ。傘持ってきた?」  「持ってきた。あと今日は少し遅くなる けど、待っててくれるか?」  「うん。図書室で待ってるからね。」  いつもはメールでやり取りすることだが、 うんうん。こうして目を合わせて喋れるのは 良いことだ。  内心満足していると、熊崎君がなにやら もやもや…うろうろ?しているのに気づく。  チラチラとこちらを見ては、口を開いて、 閉じて、手を伸ばしかけて、止めて。何か 言いたいけれど言い出せないときの熊崎君の 動きだなこれは。  しょうがないな、助け船を……と思って 口を開いた瞬間、ぎゅっと手を握られた。  「へっ!?」  思わずすっとんきょうな声が出る。しかし 熊崎君は意に介してない…いや、そんな余裕 はないようで、勢い良く鞄に手をつっこんで 何か細くて長い紙を二枚取り出した。  …え、これって。  「遊園地のチケット?」  「昨日俊から貰った。その、空いてる日が あったら、一緒に行こう。夜のパレードも 見られるらしいし……。」  俊って、多分岡田くんのことだよね。瑞季 の彼氏だ。昨日の今日でこのチケット……。  瑞季、お前の仕業だな?今度何か奢る。  こころに決めて、そして隠しきれない笑み を全開にして頷く。  「うん、いきたい!私基本的にいつでも 空いてるから、熊崎君の空いてる日に合わせ て行こう!」  すると熊崎君はホッとしたように頷き、 今度の連休は空いていると教えてくれた。  今度の連休…ということは、来週だ。 ぃよっし!!木を隠すなら森の中作戦、 やるぞーーー!!
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