いざ決戦

1/13

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ

いざ決戦

 来週だから余裕余裕……とか言ってる間に 日々は全力で過ぎた。そしていつの間にか デートの日になっていた。  「なんというイリュージョン。」  現在、待ち合わせ場所の駅である。服は 瑞季と一緒に買いに行った新作。動きやすさ を重視しつつ、所々に可愛さを忍ばせた セーターとスキニーパンツの組み合わせだ。  ……ラフすぎる気もする。どうしよう。 今からでも帰ってワンピースとかにした方が いい気がしないでもなくもなくもなくも……  「西浦。」  「なくもっ!?」  びくっと振り向くと、なくも?と首を 傾げる熊崎君がいた。ごめんなさいなんの 意味もないなくもです。  「ご、ごめんなさい。色々考えてて!」  「そうか。とにかく遅れてごめんな。」  「ううん、私が早く来ちゃっただけだし! それに今、元の集合時刻の15分前だよ?」  優しい熊崎君のことだ、私を待たせない ように早めに来てくれるつもりだったに違い ない。いつもデートの時は、熊崎君が先に 来て待っていてくれているから。  「たまには私も待ちたいよ。待たせてばっ かじゃ嫌だもん。」  とにかくフェアに。これ大事。と思いつつ 顔を上げると……。  熊崎君の笑顔クリティカルを食らった。 ダメージがすごい。天国いっちゃう。  「え、どうしたの?」  「いや、なんでも。それよりせっかく早く 集まれたんだ。少し早いけど向かうか?」  「うん!」  手を繋ごうとすると、さらっと向こうから 指をからめられる。おお……これは、もしか していけるかもしれない……!
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加