いざ決戦

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 さて、空いてるところを探して歩くこと 数分。はじめのアトラクションはめっちゃ 混んでいたから置いとくとして、その次の アトラクションはそこそこ空いていた。  「ここなら乗れそうだね!」  「…これでいいのか?」  空いていたのはコーヒーカップ。中々に ファンシーな見た目ではあるが、こういう のは楽しんだもの勝ちだ。とにかくこれに 乗る熊崎君がみたいとか思ってます。  「これでいいの!熊崎君あんまり回るの 得意じゃない?」  「いや、大丈夫。じゃあこれ乗るか。」  そう言って待機列に並ぶと、すぐに乗る ことができた。待ち時間ほぼゼロだ。  『では、楽しんでくださいねー!』  キャストさんのアナウンスと共にゆっくり 回りだすカップ。ミント色に白の装飾が入っ たものにしてみたが…大正解。  少し遅れて乗ることでその姿を見られたが とてもかわいい。うん。彼氏かわいい。  上機嫌でくるくる回るカップに振り回され ていると、視界の端を「ブォンッ!!」と 回る黄色が掠めた。  「えっ?」  振り向くと、少し遠くの黄色に青の装飾が 入ったカップが、常識を超えそうな早さで 大回転していた。乗っているのはカップル だろうか。彼氏が相当グロッキー状態に なっている。  「このカップ…あんなに回るんだね。」  スッと視線を戻すと、そちらに視線を 向けたまま固まる熊崎君が。その手の先は カップの回転を早める円盤。  「…回す?」  「やめておく。」  思わず聞くと、そっ…と手を離されて しまった。しかしどうしても気になるのか、 手が多少うろうろしている。うーん……。  お、そうだ。  「熊崎君、はい。」  「ん?」  うろうろしている手に向かって両手を 差し出す。円盤をぶんまわすのはしてほしく ないから、その手はこの手と繋ぎましょう。  上下に軽く手を揺すると、うろうろしてい た手がそろそろと手を握る。  「ごめんね、回したかった?」  「いや、こっちの方がいい。」  少し顔を赤くしてきゅっと手を握られ、 私も思わず笑顔になる。うん、確かにこっち の方がカップルっぽくていいな。  そのまま手を繋ぎ続け、コーヒーカップが 回転を終えてもそのまま下りた。もう今日は ずっと手を繋いどこうかな!!  ちなみにさっきのカップルは彼氏さんが ヘロヘロになってしまっていた。まるで グルグルバットの後、生まれたての小鹿。 ちょっと同情した。
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