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番号は6700ではない
同じ電話だからといって、その懐メロを着信音に設定してはならない。なぜなら、午前4時に頭の割れるような歌声で起こされるからだ。
大体、こんな朝早くの電話なんぞ、ロクなもんじゃない。寝ぼけながら、布団の中から手を伸ばし、昨日放り投げたスマホのありかを探る。明日が卒業式のところでスマホを手に収め、これが最後のチャンスで電話に出た。
第一声が『ハロー、ダーリン!』という上手いオチはなく、訳のわからない宇宙語で始まった。
「フォワイディドゥユーカムバックトゥジャパン!?ディドゥアイドゥエニシングワロング!?」
と思ったら、地球人英語圏、性別は男のようだ。寝起きの脳にリスニングはキツイ。
「イットウルドゥビーペインフルイフユーワレントゼアー!」
かわいそうに。
かけた先の相手も確かめず、時差も考えず、その距離を超えて思いの丈を言い募る必死さに同情した。だから、丁寧に答えた。
「アイドントケアーワッツハプン」
そう言い終えて、スマホの電源を切った。
やれやれ、これで恋のテレフォンから解放される。
布団を被り直し、二度寝を決めた。
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