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水曜日の「記憶」
老婆は、暇を持て余していた。
一年前に何十年も連れ添って来た夫が他界し半年前に息子が過労で急死し、色鮮やかだった世界は白黒のつまらないそれと化した。
特に何もやることがないので、老婆は、夫の生前、よく一緒に歩いた散歩道を一人で歩くようになった。
ある日、老婆は、それまで見たことのない店を見つけた。
水色の可愛らしい外装に、カフェのような看板。しかしそこには「夢売り」と書かれている。
若い人が入るような店は敷居が高いが、何となく興味を引かれる。
カランカランと扉を鳴らして、老婆は店へと入った。
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