カモミール咲く窓辺には

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 よく『小さいオジさん』を見たとの目撃情報が話題となっているが、我が家には『小さいオバさん』が出没する。  娘は「親指姫だ〜」と言い、夫は「フォークおばさんだ」と言うが、オバさん本人は何も語らないので正体は不明である。  オバさんは娘のカバンに付けているマスコットのヌイグルミほどの大きさだった。肩パットの入った真っ赤なスーツを着ていて髪型はロングのワンレン、眉は太め。バブルの生き残りと思われる。  でも踊ったりはしない。時々腰をさすったり肩をコキコキさせている。小さな顔にはベッタリとファンデーションが塗られ若作りはしているが、ほうれい線は隠せない。  時々我が家の出窓に置いてあるハーブの寄植えの中に現れる。カモミールがお気に入りらしく、よくその根本に座っている。  オバさんは毎日現れるわけでは無く、忘れた頃にひょっこりと現れる。そして花の香りを嗅いではニコニコしていた。私達家族が手を伸ばすと慌てて逃げてしまいしばらく現れなくなる。それが寂しいので誰もオバさんに近づこうとはしなかった。  でも、家族全員、オバさんと仲良くなりたいと思っていた。娘も触りたくて触りたくてウズウズしていた。保育園のお友達の家で猫や犬を飼っていると聞くととても羨ましそうにしていた。うちの夫はアレルギーがあり飼えないのだ。しかし何かを飼うという事は娘の情操教育にはとても良い事だと思う。  そこで私はオバさんを餌付けしようと考えた。
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