カモミール咲く窓辺には

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 オバさんは何を食べているのだろう。バブル世代の人だから高級志向なのだろうか。取り敢えずティラミスかな、と私は娘のドールハウスからお皿を拝借し、ティラミスを乗せ出窓に置いておいた。  オバさん出現! しかしティラミスには見向きもせずカモミールの香りを楽しんでいた。  次に私は音楽を掛けた。この日のためにバブル世代の曲を用意しておいた。が、曲が掛かるとオバさんは迷惑そうな顔をして寄植えの中に逃げ込んだ。帰られては困ると慌てて音楽を止めた。  今日用意しておいたものはこれだけだった。他には何も思いつかない。またネットで検索してみて手立てを講じようと思う。  オバさんはカモミールの香りにウットリとした表情をしていた。多分自分よりも年上だろうけれど、可愛いと思った。  夜、ベットの中でスマホでバブル時代の食べ物を検索していると夫がお風呂から上がって来た。 「調べ物か?」 「うん。オバさんの好きそうな物探してるの」 「バブル世代か。お袋に聞いてみるか?」  そう言って夫は実家に電話を掛けた。義母は結構派手な人で、バブルの頃はボディコンでディスコに通っていたそうだ。当時女子大生だった義母は時代を満喫していたらしい。 「うん、うん。そうか。うん、ありがとう。うん、また近いうちに行くよ。じゃあな」  どうやら夫は近いうちに遊びに行く約束をしてしまったようだ。余計な事をしてくれたものである。
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