カモミール咲く窓辺には

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 が、急に目を覚ましたオバさんは慌てて立ち上がり走って行ってしまった。 「あ〜あ、ママのせいだ」 「ごめんね……。あ〜あ」  虚しく麦茶を母娘で飲んだ。これでしばらく来なくなってしまうかもしれない。何てバカな事をしてしまったんだと日本海溝より深く後悔した。  それから何日もオバさんは現れなかった。やっぱりこの間捕まえようとしてしまったせいだろう。 (このまま来なくなるなんて事は無いよね?)  あの日の過ちを何日も引きずっていた。私達からすればオバさんはもう家族の一員だった。会話はせずとも食卓を囲まなくとも、いてくれるだけで幸せだった。  毎日オバさんの好きなハーブにせっせと水をあげ、枯らさないように手入れをした。カモミールも次々に花を咲かせ、いつも良い香りを漂わせている。  オバさんが来なくなってどれくらい経つだろうか。何処か遠くへ行ってしまったのだろうか。もう違う家を見つけてしまったのだろうか。  切ない気持ちで何日か過ごしていた。  そんなある日、保育園から帰って来た娘がお楽しみ会に歌う歌だと言って練習を始めた。 「このごろ人気の女の子〜  お胸の小さな女の子〜♪」  歌に合わせてお尻を振ったりして踊っていた。これはまだ私も産まれる前のアニメの主題歌だ。以前流行りの歌手がカバーしていたがそれももう10年以上前の事だ。よくこんな古い曲を子どもに歌わせようと思ったものだ。先生何歳なんだろう。  そんな事を思っていると、出窓の方でハーブが揺れた。  オバさんだ!
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