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コード017
強い光が視界を奪った。
「危ないっ」
ネーム612は上下レバーを瞬時に深く押した。船体は軌道を上方に転回する。光源である星がコード017に衝撃波を与え、船体は勢いよく衝撃の波が進む方向に流れ飛ぶ。
「コントロールが効かないっ」
ネーム229は左右レバーの調整を試みるが、後転を繰り返す船体は更に制御が難しい状態に陥った。
「レバーをセカンドに切り換えるっ。ネーム548、上下レバーを引き戻し、少しずつ船体を戻すんだっ」
操縦室長の指示に従い、ネーム548は調整を試みる。
少しずつ安定を取り戻していく
衝撃の起点方向に船体を向け、噴射を行うことでコントロール可能な状態に落ち着いていった。
「ーーネーム548、ネーム229、制御状況を報告せよ」
「こちらネーム548。
まもなく安定状態に入ります。自動操縦に切り替え可能です」
「こちらネーム229。
こちらも自動操縦に切り替え可能です」
「それではレバーをファーストに戻す。継続してスター50886493478を目標とし、自動操縦に切り替える」
コード017は、一般に「星船」と呼ばれる超大型宇宙船。グランボという星で作られており、グランボが寿命を迎える前に別の星に移住しようという計画であった。
「船震による被害は?」
「大きな被害は現時点で報告を受けておりません。今回は安定に若干時間を要したものの、後方後転により船体下部を重力点としたことが功を奏したようです」
「しかし、突発的な船震に船民も不安を感じていることだろうな・・」
五大長会議では、今回の船震について話し合われていた。大きな議題は3つ。
1つ目は、被害内容の確認とその対応について。大きな被害こそなかったものの、被害者は少なからず存在する。船国としてどこまで補償を行い、補償対象外の部分への復興支援をどのような形で行っていくべきか、ということ。
2つ目は、船震の原因。流星の衝撃波が原因なのだが、なぜ事前に察知して船路変更による回避ができなかったのかということ。
最後は、船震の責任問題に関して。事後の対応としては最大の成果をあげている一方で、事前の対策が不足していたのではという疑問は残る。2つ目の議題から派生する内容だが、誰に責任があったとするのか、ということ。
「今回の原因は全て私にあります。私が辞任することで責任を取りたいと思います」
会議には操縦室長も参加していた。一般には「操縦長」と呼ばれ、五大長ではないが、コード017の操縦を担う特別技術職の長であった。「特別」と付いてはいるが、管轄としては防衛大長の下であった。
「いや、操縦長の迅速冷静な判断がなければ被害はこれ程では済まなかったっ。流星に気づけなかった私の責任だっ」
「防衛大長、責任問題は後だ。まずは特別船震復興支援委員会の設置とその役を誰に担わせるか、それからその方向性に関してだ」
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