0人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーそれから時は過ぎ、コード017がその形を失ってからのこと。船震を経験した者どころか、船震があったことすら知らない者が生きる時代になっていた。
「私達、人類の祖先はグランボと呼ばれる星で生まれたとされています」
「先生、グランボってどこにあるんですか?」
「今は存在しないとされていますが、ニュードリムから想像できない程に遠くにあったと言われています。1000年かかっても辿り着けない程の距離です」
ニュードリムとは、この星のこと。小学校の総合の授業では、人類の起源がテーマとして扱われていた。
「どうやってそんなに遠くから来たんですか?宇宙船でも無理ですよね?」
「昔は今よりも高度な技術があったそうで、そんな宇宙船を作れたそうです」
「パパ、今日は学校でね、人がどこで生まれたかって話があったの」
その女の子の父親は、一瞬ちょっと考えたような表情をすると、確認するように尋ねた。
「どこで生まれたかって、人の起源のことか?」
「うん、どこだと思う?」
「グランボだろ?」
「正解っ。じゃあね、どうやって来たでしょう?」
「宇宙船だろ?」
「もうっ、簡単に答え過ぎ」
その少女は腹を立てるような顔でそう言った。するとすぐに少し不満足そうな、悩ましそうな表情をして言葉を続けた。
「でもね、学校じゃそこまでしかわからないって言ってたの。あとは私達が考えることだ、って。知りたい人は色んな考えがあるから自分で調べてみなさい、って。」
「お父さんも詳しくは知らないけど、テレビで聞いたことがあるのは・・」
父親はまず大きく2つの話をした。ひとつはワープ説、もうひとつは計画的移動説。それから、その2つを合わせた説と、偶然発見した説。
「宇宙船が残っていればいいんだろうけど、それすら残ってないからな。ただ、口伝えでそう言われているのを研究者が調べて、今は学校でもそう教えているらしいけど・・。
でも、神様が生んだとか、別の生物が進化して人になったとか考える人もいるから、本当のところはわからないんだけどな」
「ふーん・・。なんか色々と難しいんだね」
最初のコメントを投稿しよう!