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平屋建ての一軒家
軒先の隅っこにゲージらしき囲い
その囲いの中に犬小屋。そして犬小屋の前で
一匹の犬がしきりに吠えていた
「餌やりだけだといくらなの?」
ワンワンッ ワンワンッ
「千円です。」
ワンワンッ ワンワンッ
「千円!高いわね…
散歩はいいわ、慣れた人にしか出来ないから、」
ワンワンッ ワンワンッ
「……散歩代ケチってるだけじゃ…ィタッ」
飼い主に聞かれない位の小声でつぶやくと
隣の藤沢杏美にバインダーで突っつかれた
「レオン!コラッシッ!静かにしなさい!」
ワンワンッ!ワン!ワンッ!
一層吠えているような―
まるでコントだ
飼い主の森崎が言っても大人しくする気配もない
ワンワンッ ワンワンッ!
飼い主と打ち合わせをしながら
シッター二人の匂いを嗅いで慣れてもらうのが目的なのだが、
近所からクレームを言われそうなくらい
うるさい。
杏美は苦笑いをした
「レオン君、良い番犬ですね…、」
ワンワンッ! ウゥー!ワンワンッ!
ワンワンッ! ワンワンッ!
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