渡り鳥の憂鬱

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結構広めの池とは言え、すごい数のカモが ひしめき合っていて池はいつも混雑している。 その中でひときわ目立つ存在、それが白鳥だ。 数は多くないものの、そのビジュアルは私達カモとは比べ物にならないオーラを放っている。 白鳥の羽根は真っ白。 本当に羨ましくて 「どうして私はカモに産まれたんだろう」 って落ち込んだ時期もあった。 廻りにいるたくさんの仲間を見渡す度に、私もこの中の一人(正確には一羽)に過ぎないんだって思う。 これから先もこの薄茶色の体で生きていくしかない。 見に来ている人間達は、白鳥が近づくと嬉しそうに歓声を上げる。 投げた餌を私達が食べると 「あー、またカモが取っちゃった」 残念そうに言っているのが聞こえてくるけど気にしない事にしてる。
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