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どんぶり
出汁の香りをふんだんに含んだ湯気がふわっと抜けて、喉がごくりと鳴った。
額に汗を滲ませたあんちゃんが湯のなかで私のためのうどんをゆすっている。
客は私ひとり。今日はなぜかたったひとり。
奥で流れるビートルズがやけに響いて聴こえる。
「……オ待チ」
目の前に置かれたどんぶりを見て、私は唖然とした。見なくても分かるつんと鼻をつつく匂い。
私がこの店の常連客になって、早二か月。週に四、五回は通っている。
だけど、こんなものを見るのは初めてだ。
そこには緑白色のピラミッドがあった。
おいおい、いったいどうしちゃったていうのよ、あんちゃん?
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