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ヨッピーの住まいは納骨堂。
奥に見えてる立派な造りの建物の中で、
ヨッピーは待っている。
その時だった。
住職さんが納骨堂の木の扉を閉めようとしているのが見えた。
私は叫んだ。
「スミマセーン!入りたいんですけど!」
住職さんは私に気付くと、振り返って頭を下げた。
私は入り口まで走って住職さんに挨拶をし、大切な人の命日だと伝えた。
住職さんは少し困った顔をした。
「もう閉める時間なんですよ。
もう暗くなってきてるし、中にはちょっと...。
いやいや、今から外せない用事があってねぇ。
困ったな。
よし!
遠方からお越しのようですし、特別に鍵をお渡ししましょう。
おたく様がここを出る時に、必ず鍵を閉めて頂くという条件で」
穏やかな笑顔で住職さんはそう提案した。
私は固まった。
そりゃ固まりますよ。
お寺に一人残るなんて怖すぎるでしょ。
でもここまで来たし、今日命日だし、どうしよう。
青ざめている私を見て住職さんは
アメリカンジョークを言うような手振りを
して
「心配イリマセーン。
僕ですら幽霊見た事アリマセーン」
と笑った。
何でカタコト?
私を安心させるために頑張ってくれているのかな。
仕方なく、私は鍵を受けとった。
「鍵はそこの植木鉢の下に入れといて下さい」
えーっ、そんな所でいいの?
おばあちゃんち方式でいいんだ。
住職さんはニコニコと頭を下げながら去ってしまった。
私は恐る恐る中に入っていった。
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