退屈な毎日

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「ん....あ....そこ...もっとして....」 ここは俺、橘泉の勤めているオフィスの会議室。 「んっ...あっ...もう...イクッ...」 職場の上司に迫られてイッた俺はすぐさま服装を正す。 「良かったですよ。いつものは?」 そう言って上司に右手を差し出すと俺の手に3万円が乗せられる。 「毎度。したくなったらまた誘って下さいよ」 俺は金を背広の胸ポケットにしまうとさっさと会議室を出ようとして右手を引かれた。 「なんですか?この手は?」 酷く冷めた目で俺が上司を見上げると情けない程の声が返って来る。 「こんな関係やめないか?俺とちゃんと恋人になってくれ。好きなんだ。身体だけなんて虚しいだけだ」 俺はまたかよと思いながら冷めた感覚でその手を振り払う。 「野神課長、そういうのやめません?俺に愛だの恋だの求められても困るんですよ。いつも言ってるじゃないですか。それに身体だけでもおいしい思いしてるんだから、それだけで満足して下さいよ。それじゃ、俺、仕事がまだ残ってるんで失礼しますよ」 そう言って切り捨てると俺はすぐさま踵を返した。 「泉!」 切なそうに呼ぶ上司の声を無視して俺は会議室を後にした。 馬鹿馬鹿しい。 愛だの恋だの所詮穴があったら誰だっていいんだろう。 中性的に見えるらしい俺はほっといても相手の方から勝手に寄って来る事が多かった。 そんな奴等は片っ端から金を出すならヤッてもいいと言うと喜んで盛ってきた。 セックスなんて所詮物理的な物でしかない。 盛りばかりつきやがってと心の中で舌打ちを打つ。 演技すんのもめんどくせぇ。 だが、いい小遣い稼ぎにはなるのだから俺にはこれで丁度いい。 そう思いながら両腕を上げ伸びをしつつ会社の廊下を歩きながら少し気怠い身体で俺の勤めている部署マーケティング部へと戻って行った。
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