かっ飛ばせ、白球！

「よく頑張ったな」

小学校でリトルリーグに入っていた俺だけど、部員数が多かった中学では専ら球拾い要員。六年生になってもレギュラーが取れなかった。
けど、家の庭で毎日遅くまで素振りするのを欠かさなかった。

俺はオバちゃんと約束したんだから。

『日本一のホームランバッターになる』って。

グラウンドを使えない俺たちは、学校指定のジャージで外周を走り、河原でキャッチボールしたり空き地で素振りしたりして練習していた。

ようやく活動禁止令が解けて、形だけの顧問も付いた。自分たちで話し合ってポジションを決め、自分たちで決めた練習メニューを毎日懸命にこなした。

試行錯誤の一年間。学年が上がり、たくさん一年生が入ることを期待したが、暴力事件のニュースのためか、二人しか入部しなかった。
……けど。
「10人になった！」

俺たち二年生は肩を叩き合って喜んだ。これで試合に出られる。

そして迎えた地区予選初戦。

22対0。俺たちは5回コールドでボロ負けした。