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 え、何、私? と疑問に思いながら畳に手をつき立ち上がる。居間から出たところですぐに視界に入った人物に、瑞希は大きく目を見開いた。  なんで? 驚きすぎて、咄嗟に声には出せなかった。  そんな瑞希の様子には全く気が付かないようで、祖母が瞼の肉が垂れ下がった皺しわな目をさらに細めて、「遊ぶ約束をしてたのね」と心底嬉しそうに微笑む。  してない。遊ぶ約束なんか、私、してない。  突然のことに混乱しながらも、なんとか乾いた唇を開き、「どうしたの?」と口に出した。  瑞希の目の前には、ニッと白い歯を見せて笑うホンダカケル君と、その一歩後ろで両手のひらを顔の位置でひらひらと振り、「やっほー瑞希ちゃん」と満面の笑みを浮かべる真壁瑠美ちゃんがいた。
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