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そっか。だから初対面でもあんなにいろいろと話しかけてきたのかな、と一つ謎が解けたような気持ちがした。
「ところでさ、これ、ずっと歩いて行く感じ?」
話の腰を折ることを詫びるように、おずおずと瑠美ちゃんがカケル君に尋ねる。瑞希もこれから一体どれだけの距離を歩くのだろうと薄々不安になっていたから、今、このタイミングで聞いてくれて有難い。
「それなー、まさか瑞希も自転車持ってねぇと思わなかったからさー」
ま、瑠美は持ってねぇんじゃなくて漕ぎたくないだけだけどなー、と瑠美ちゃんに意味ありげな鋭い一瞥を送ってから、「さて、どうするか」とカケル君が思案顔をつくる。
キョウゴ君の家は確か学校から歩いて四十分以上あるから、ここからだとあと一時間くらいかな? と瑞希が頭の中で出したばかりの計算結果にげんなりした時だった。
「あ! 鈴木のおっちゃんに借りれっかも!」
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