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 ダサい両立スタンドのママチャリにカケル君が乗って、マウンテンバイクの前に瑞希、後ろに瑠美ちゃんが乗っていた。  無造作を装いながら、だけど実際はきっと色や形、大きさを考えてこだわって貼られたであろうたくさんのステッカーを見ながら思う。  カケル君のことが、嫌いだ。  転校生の自分にいきなり呼び捨てで話しかけるところも、何の約束もないのに休日に家まで来て遊びに誘うところも、近所のお蕎麦屋さんから簡単に自転車を借りてくるところも、「おう」と一言で返事をしてしまうところも、それが受け入れられてしまうところも、ダサい自転車に自分が乗って、こだわっている自分の自転車を簡単に人に貸してしまうところも。    全部、全部嫌い。  瑞希は人と、そういう繋がり方をしてこなかった。
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