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真壁瑠美ちゃん。瑞希がこの学校に来て、一番最初に名前をフルで覚えた子だ。
――マカベルミです。よろしくね、瑞希ちゃん。
転校初日。担任の先生に促されクラス全員の前で名前と前の学校名を伝えただけのつまらない自己紹介をした後、自分の席に着くと、隣の席に座る男の子が真っ先に話しかけてきた。
「俺、カケルな。お隣さんよろしく、瑞希」
「え? あ、よろしくお願いします……」
いきなりの呼び捨てに面食らっていると、カケルと名乗った男の子の前に座る女の子が勢いよく振り返った。
「ちょっとカケル、いきなり呼び捨て?」
「何だよ、別にいいじゃん」
はぁ、と小さく溜め息を吐くと、女の子は今度は瑞希を見て、
「マカベルミです。よろしくね、瑞希ちゃん」
小ぶりな口を開け、にっこりと、笑った。
カケルうざかったら無視しちゃっていいからねー、はぁ? ルミマジでムカつく、そんなやり取りを先生に注意され、ルミちゃんは居住まいを正し、再び前を向いた。
その間ずっと、瑞希の心臓は痛いくらいにドクドクと脈打っていた。
呆けたようにしばらくの間ルミちゃんの後ろ姿を見つめた後で、はっとその存在を思い出して瑞希は急いでついさっき職員室で貰ったばかりのクラス名簿を見た。
マ行を必死で探す。
下から8番目に、それはあった。
『出席番号27番 真壁瑠美』
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