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 ホンダカケル君と、真壁瑠美ちゃんと、なんとかキョウゴ君。  この一週間で瑞希が話をするようになったこの三人は、どうやら幼い頃からの幼馴染で、家も近所のためほぼ毎日一緒に通学しているようだ。  瑞希も一度「一緒にどう?」と誘われたが、三人とは方向が真逆だったからそれは叶わなかった。  といっても、瑞希は早く一人になって耳にイヤフォンを嵌めプレーヤーで音楽を流したり、人目を気にせずに暗い顔になれる時間が欲しかったから、むしろ有り難かった。  三人は、歩くと四十分以上かかるみたいで、カケル君とキョウゴ君が自転車、そして瑠美ちゃんが一応は徒歩通だけど、実際は校門から見えない場所ではカケル君の自転車の後ろに乗っている。  というのを一度、「いい加減マジで俺の後ろ乗るのやめろよな」とカケル君が本気トーンで瑠美ちゃんに言っているところを聞いてしまったから知っている。  他のクラスメイトの会話なら耳を素通りしていたけれど、瑠美、と呼ぶ声が聞こえると、ついそちらを見てしまう。  その後の瑠美ちゃんの悲しそうな、落ち込んだような顔が見ていてとても辛かった。  だけど瑠美ちゃんの笑顔の方が、瑞希の胸を息もできないほどに強く締め付ける。
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