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 お茶葉を入れ替え、急須にお湯を注いでいる時だった。  ヴゥィーッ、という不格好な家のインターホンが鳴った。  瑞希が急須をキッチンテーブルに置き、玄関に出て行こうと思ったが、「きっとお隣さんからの回覧板よ」と祖母がよいしょ、と立ち上がった。  祖母には祖母の近所付き合いもあるだろうし、それなら、と瑞希は頷いた。湯気がゆらゆらとたっている湯飲み茶碗二つを円卓に並べ、座布団に腰を下ろす。無造作に畳に置かれていたテレビのリモコンに手を伸ばした。  玄関サンダルに履き替え、ギッ、ギッと不快な音を鳴らしながら扉を開けている祖母の様子を気に掛けながらも、ぽちぽちとチャンネルを変えていく。  何も考えなくていいような、馬鹿みたいにお気楽でご都合主義なドラマか何かの再放送がやっていないだろうか。  切り替わる画面を睨むものの目ぼしいものがなかなか見当たらず、諦めきれずに二周目に差し掛かったあたりで、「まぁ!」と、祖母の素っ頓狂な声が居間まで届いた。  何をそんなに驚くことがあるんだろう、とぼんやり思っていると、「瑞希ちゃん、瑞希ちゃん!」と祖母が急かすように自分を呼んでいる。
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