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成長した僕は、世界じゅうの天気を予報する特別気象予報士となった。
僕の予想はまるで予言であり、一度も外したことがなかった。
また、僕は天気だけではなく、あらゆる災害を予知することもできた。地震や台風、津波。自然災害は、事前にきちんと情報をくれる。空気の中に泳ぐ気配が、これほどまで雄弁に語っているのに、どうして誰も気づかないのだろうと、逆に僕は疑問に思った。
ひとは僕の予報をありがたがった。やがて世界中の国々が僕の予報を当てにするようになった。
国家の大行事ですら、僕の予報を元に、最も天候が良く安全な日に行われるようになった。
小さいところでは、学校の運動会も、僕の予報を当てにしていた。その日は荒れると僕が予想したら、学校はいともたやすく運動会の日を変更した。
僕は空や地面や海や生き物たちから、あふれるほどの言葉を得ている。
この惑星の全てのものが美しい言葉を語っており、僕はそれを夢中になって聞いた。それはどんな本よりも面白く、スリリングで充実していて、ためになるものだったから。
同じ年あいの男たちは綺麗な女性に夢中になったり、友達づきあいに翻弄されたりして、惑星からの言葉を得ることなど思いもよらないようだった。
そのくせ、なんでお前はそんな凄い才能を持っているんだろう、羨ましいぜと僕に言うのだった。
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