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愛する君よ。
長い間、僕は孤独を怖いと思ったことがなかった。
僕の力は生まれついての才能だったから、羨む人の気持ちすらわからずに生きて来たんだ。
僕はその瞬間の空気、風のにおい、土からの語り掛け、生き物の醸し出す思いを正確に読み取り、気象を予報することができた。
たとえ地球の裏側の天気予報でも、問題なくできた。僕の立つ大地の温もりから髪を泳がす空気の流れにいたるまで、すべてが惑星からのメッセージだった。
幼いころから、ひとは僕を、天才と呼んだ。
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